2023年7月から来年春にかけて、たくさんの事業者がコロナ融資の
返済開始を迎えます。
その影響か近ごろ、「コロナ融資の返済が本格化するが、今の
ままでは返済できない」という相談が増えています。
そんなとき、金融機関に対して「同額借換」を依頼すべきなの
ですが、なかには金融機関が同額借換に応じない事例が
聞かれるようになりました。
同額借換を断られると、リスケしか方法がありません。
しかし、交渉を適切に行わないと金融機関は認めてくれませんし、
リスケ脱却への道が遠のくことがあります。
今回は、有利に進めるリスケ交渉のセオリーをお伝えします。
1.セオリー① 初リスケは元金返済ゼロが基本
初めてのリスケ交渉は、元金返済ゼロが基本です。
たとえ返済に充てられるキャッシュがいくらかあっても、
手元に置いておきましょう。
なぜなら、「リスケをすると金融機関は新規融資をしてくれない」
からです。
その間、資金が必要となる時のために、少しでもキャッシュをプールして
おかなければなりません。
2.セオリー② 前行協調
複数の金融機関から資金調達をしている場合、すべての金融機関と
交渉をする必要があります。
その交渉の順番は「融資額が多い金融機関から」です。
そして、どの金融機関に対しても同じ情報を伝え、同じ要望を出さな
ければなりません。
しかし、一行でも非協力的な金融機関があれば、リスケはまとまらなく
なります。
そこで確実なリスケ実行のために、①「1日で」、②「すべての
金融機関を訪問して申し出を行う」ことが必要です。
申し出日が一日でも他行より遅ければ、「ウチは他行と同様に扱われて
いない」と考え、交渉への姿勢が非協力的になる金融機関もあるので
要注意です。
3.セオリー③ 期間は1年を目指す
リスケは金融機関にとってリスキーですから、期間をできるだけ
短くしたがります。
一般的には、金融機関が認める最長期間は1年だと考えておきましょう。
一定期間ごとに経営改善の状況を見直し、少しでも改善していれば返済額
を増やしてほしいと考えるのが金融機関です。
ただ、注意したいのは、期間を1年ではなく半年しか認めてくれない
金融機関もあることです。
実際のところ、半年で経営改善を完遂できた事例はほとんどありません。
リスケを行った企業が正常化するには、相応の期間を要します。
長ければ15年以上もかかることもあります。
少なくとも数年、またはそれ以上の年月にわたり、半年ごとにリスケ
交渉をしながら、経営改善を続けることは大きな負担です。
リスケ交渉には、多くの労力が必要です。
半年ごとでは経営者が本業に集中しにくく、長期視点での経営改善は
到底おぼつかないでしょう。
だからこそリスケ交渉では、最長期間である「1年」を目指すべき
なのです。
返済が本当に難しければ、リスケを行う決断をしなければなりません。
ただ、経営者が1人でそれを考え、進めていくのも難しいものです。
是非、迷ったり、分からないことがあれば、「分かる人間=専門家」を
うまく活用して、進めていってほしいと思います。