まだまだ寒い日が続きますが、それでも寒さの峠は越えたようで
春を感じられるようになりました。
お出掛けが楽しくなる季節ですね。
最近は運動不足なので週末の朝は歩くようにしています。
もう少し暖かくなったらランニングにする予定・・・のはず(笑)
日頃はスニーカーを履いて活動することが多いのですが
これまでいた業界柄もあり家にはブーツもかなりあります。
そのうち実際に履くのは2,3足で、それ以外はここ数年使っていません。
結構、場所を取るので処分すればいいのですが、できないんですよね・・・。
そう、あの感情が出て来るのです。
「もったいない」
ブーツの殆どは社内販売で安く買えたもの、サンプルの1点もの、
コラボ商品などレアものなどになります。
お金を払って、得をして(?)せっかく手に入れたもの。
これを捨てるとなるとなんだか損したような。
「損した」ではなく「損したような」気になるという・・・。
今後、玄関に置いてあっても履かないのは間違いないし、
捨てたところでどこも「損」などしないのですが。
何とも小さな人間です、我ながら(泣)
なかなか断捨離できない理由もこんなことが多いと思います。
これをビジネスで考えるとどうでしょうか。
すでに支出されて回収できない費用を「埋没費用」とか「サンクコスト」と
言います。ご存知の方も多いと思います。
そしてビジネスにおいてもサンクコストはとても重要な概念です。
飲食店を例えにしましょう。
3年前に800万円の資金を投入して立ち飲み屋を始めました。
しかし、周囲の同業との競争が激しく苦戦が続いています。
そこで打開策として改装を考えていますが、それには600万円の
費用がかかります。
経営者はこう考えています。
「改装で来店客を増やして、これから巻き返していくんだ。
そして開店時に使った800万円も取り返すんだ」
結論からいけばこの考えは正しくありません。
初期投資の800万円は既に支払って回収できない費用、サンクコストです。
改装投資の可否に対して何の影響も及ぼしません。
これからの投資については、投資額600万円以上の収益が見込まれれば実行、
そうでなければ却下、という結論になります。
開店時の800万円は関係ありません。
この2つの投資は全く別々の案件ということです。
しかし、現実にはこの経営者のように考えてしまうことがあるんですね。
どうしても人間、「損したくない」とか「元を取りたい」、「もったいない」と
いう気持ちがあります。
それが時として間違った判断につながります。
「ここまでがんばってきたんだから」
「すごい金額のお金をつぎ込んでるし」
話は変わりますが、国産初のジェット旅客機として開発が続いていた
三菱スペースジェット(旧MRJ)事業が凍結になりました。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04760/
昨今の航空需要の激減が決定打となっての判断なのでしょう。
残念ですが、新型ウィルスの影響というある意味「仕方がない」理由が
あったとも言えます。
でも、もしこのウィルス騒動が発生していなかったら、この事業がどうなって
いたかは興味深いところです。
これまで200機以上の確定受注に対して納期延長は6度にわたり、
いまだ型式証明は取れずに先行きのメドが立たない。
その一方でこれまでに投資した開発費用は莫大であり、まさにサンクコスト。
この事業継続の可否判断は幾多の要因が絡み複雑でしょうが、
サンクコストに引きずられるともっと事態を悪くする可能性さえあります。
ちょっと話が大きくなりましたが、私たちの身の回りでもサンクコストは
ついてまわるものであり、それに惑わされないでいたいものです。
人気のラーメン屋の行列に並んだものの、予想以上の待ち時間。
空腹も限界。だけど、ここまで待ったんだし・・・。
それサンクコストです。
楽しみにして読み始めた本。
あれれ、期待と違ってあまり面白くない。
でもせっかく買ったしここで読むのを止めるのは・・・。
これもサンクコストです。
もちろんビジネスや会社の中にもサンクコストが邪魔しているモノ・コトが
あるかもしれません。
てか、多分ある(笑)
どれも「もったいない」が根底にあります。
勿論モノを大切にする、という点では「もったいない」はいいことです。
話が長くなりましたが、つまりは
「人間、あきらめが肝心」
ということでしょうか。
何だか最後は身もふたもない感じです(笑)
まあ、言うは易し、行うは難し。
ではこれから玄関に行ってブーツの断捨離をしますか・・・