最近、ハンコ廃止の議論が出ていますね。
もう少し丁寧に言うと「事務処理の完了を確認する」ような押印を「廃止」しよう。
重要な取引に際して交わす「実印」レベルはとりあえず残すものの、重要ではない
儀礼的な三文判はやめにしましょう、という感じでしょうか。
新型コロナウィルスの影響で在宅勤務が拡がる中、押印のために出社するという話も
よく出ていました。
どれだけの人たちがそんなことになったのか分かりませんが、何とも非効率なことです。
私個人的には外資の会社に2社で合計20年勤務してて、社内に「ハンコ」という
ものがありませんでした。
押印という制度もなければ、物理的にも社内に「ハンコ」というものがない。
で、書類にはハンコじゃなくてサインをしてました。
手書きのサインって各人の特徴があり、三文判よりもよっぽど信憑性は高いと
思います。
話を戻すと「脱ハンコ」の流れは今に始まったことではありません。
恐らく市場規模としても縮小はしてこそ、拡大はしていなかったでしょう。
コロナはなくともデジタル化などに伴う需要の変化や世の趨勢は分かっていたはずです。
この流れ、ハンコの製造業者、販売店などの当事者の方たちは、これを自分達も変わる
好機と捉えて欲しいと思います。
良く引用される話ですが、かつてカメラのフィルムはデジタルカメラの出現により
急速に市場を失いました。
2000年頃、デジカメが登場するとフィルムの市場は一気に縮小。
その後の10年間で何と90%減!だったのです。
富士フィルムもフィルム売上が2750億円から300億円へ急減しています。
結果、世界大手の米コダックは倒産(なんと皮肉にもデジカメを開発したのはコダックでした)。
一方で富士フィルムは変化を恐れず果敢に挑み、大胆な事業の取捨選択をすると共に
40社を買収、1年半で2500億円を投資して社内を大再編しました。
そして、医療や半導体、ITの会社として変化を遂げ、見事に危機を乗り越えたのです。
中小企業や小さな会社では大手企業のような投資は出来ないまでも、自分なりに
状況を見極め、生き残っていく道は残されている筈です。
そして、その一助となる考え方がランチェスター法則でもあります。
是非、「ハンコ」に従事する方々がこのピンチを自らが変わることでチャンスにして、
新たな道を見つけられるよう願っています。