ドラマ「深夜食堂」、見たことある方も多いと思います。
安倍夜郎さん原作の漫画で小林薫さん主演で描くヒューマンドラマ。
私、好きなんです。好きなんですよー、深夜食堂。
ハッピーな話ばかりではないですが、味わい深くて心が温まるのです。
営業は深夜0時から朝7時頃まで。
メニューは豚汁定食、ビール、酒、焼酎。これだけ。
あとは頼んでみて、マスターが作れるものなら何でも作る、というスタイル。
営業時間、メニュー、かなりの制限がありますね(笑)
でも、「客が来るかって? それが結構来るんだよー」なんですね!
これホントにすごいビジネスモデルです。
つまり「戦わずして勝つ」、という弱者の戦略そのものです。
ランチェスター的には「差別化」「小規模1位主義」「接近戦」「軽装備」などと
並び重要な戦略概念になり、孫氏が説く戦いの要諦です。
中小企業や小さな会社はお金、人、設備、情報などが非常に限られます。
大手企業やチェーン店とまともにぶつかっても太刀打ちできません。
しかし、「商品・サービス」や「地域」「客層」など何等かを絞込んで
厳しい衝突を避ける道はあります。
では「深夜食堂」はどうしてるか?
地域⇒駅前ではなく繁華街から少し外れた路地裏。1店舗だけの展開。
商品⇒メニューを限定。
客層⇒深夜に仕事を終える人など。様々な客を取り込もうとしない。
意図的か否かはさておき全てにおいて絞られています。
木造の古い建物。家賃は一般的な地域相場に対して高くなさそうですね。
飲み物以外は豚汁定食のみ。あとはその場にあるもので作れる料理だけ。
用意するもの、そして食材ロスは極めて少なく超効率的。
お客は店の居心地の良さやマスターを慕って食事や酒を求めてやってくる。
価格は気にしていない、つまり安売りする必要がない。
マスターとお客が極めて近い関係性を築いて、毎晩のように来てくれる
リピーターになっている。
飲食店という点で競合はいるでしょうが、実質的にこの店と比較検討の対象に
なる店はあまりなさそうです。
言い換えるとごく限られた嗜好やライフスタイルの「あなた」だけが来てくれたら
いい、というスタンスです。
小さなお店や小さな会社はあらゆる客を取り込まなくても、好きになってくれる
一部の人たちが来てくれれば十分に成り立つことも多いのです。
逆にとらえると「やらないことを決める」ことが大事とも言えそうです。
深夜食堂はドラマ上の設定であり、よく見える面だけを取り上げていたり、
ここに至る過程の苦闘や抱える問題課題を見ていないかもしれません。
しかし、ほかとの競争を出来るだけ避けて、経営を安定させるうえでのヒントが
沢山ちりばめられているドラマです。
さあ、あなたのビジネスで何か生かせるところはありませんか?
「深夜食堂」、久しぶりにご鑑賞してみてはいかがでしょう。
私はAmazon Primeで見ています。
ちなみにご贔屓の登場人物は“マリリン”です(笑)