長引くコロナ禍の影響で売上が減少して、多くの事業者が
日本政策金融公庫や信用保証協会の保証つきでコロナ
融資による資金調達を行いました。
そのおかげで当面は資金繰りが改善されたものの、影響が
長引いて売上が以前にように戻らず、再び資金繰りが
難しくなっている事業者が増えてきました。
今後、コロナ融資の返済が始まると、なおさらキャッシュ
フローが厳しくなります。
そんなコロナ融資の返済に悩む事業者が返済猶予期間を
延長するための方法について解説します。
1.リスケ(リスケジューリング)
「リスケ」とは金融機関からの融資に対する毎月の
返済が厳しくなったため、金融機関との交渉を経て、
返済可能な金額・期間などを変更することです。
返済のスケジュールを見直すことから「リスケジューリング」
といい、それを略して「リスケ」と言います。
2.同額借換
通常の融資では、上記の「リスケ」しか返済額を減額する
ための方法がありませんでした。
しかし、コロナ融資に関しては、もう1つ対応策があります。
それは金融機関に「同額借換」を依頼することです。
同額借換とは以前、コロナ融資を借りた金融機関から
同額の融資を再度行ってもらい、その資金で以前の
融資の返済を行い、新たに借りた融資の返済猶予期間を
今後、1~5年にすることで返済猶予期間を延ばす方法です。
3.まず「同額借換」を依頼しましょう
リスケを行う際は注意点がひとつあります。
リスケをしてしまうと事業者の金融機関内における
信用格付けが大幅に下がるため、金融機関はその後の
新規融資には応じてくれなくなります。
将来、資金調達を行いたいと考えている事業者にとって
できるだけ避けたい状況です。
そして、金融機関の側にとってもリスケの実行に伴う
事務作業も煩雑であり、なおかつ回収リスクが高まる
ことで貸倒引当金をより多く積む必要があります。
つまり、金融機関の利益にもマイナスの影響が発生
することになるのです。
ですので、金融機関に依頼するのであれば、まずは
「同額借換」で依頼されることをお勧めします。
今までの事例では、公庫や信用保証協会の保証つき
コロナ融資の場合、7割程度は対応してもらっている
ようです。
4.同額借換を認めてもらえなかったときの対策
これはいい方を変えると、7~8割の同額借換が成功する
=2~3割は認めてもらえないということ。
そうなると残された方法は「リスケ」しかありません。
「今までは無理をして資金の段取りをして、何とか返済する
ことができました。しかし、次回以降はとうてい返済する
ことは不可能です。」
「同額借換は返済猶予期間を延ばしてもらおうと思い依頼
しました。しかし、認めてもらえなかったので、次回以降の
返済につきましてはリスケをお願いします」
こう依頼することで、金融機関も事態の深刻さを察知して、
リスケ交渉に臨む体制を作ってもらえることが少なくありません。
一度融資を断った手前、金融機関はリスケに応じざるを得ない
状況になるからです。
返済期間の延長で資金繰りの改善を図る際はまず「同額借換」を
考えること。
そして、実際の手続きについては不慣れで、分からないことも
多いと思います。
是非、その時は外部の専門家の力を活用して、スムーズに
進めていただきたいと思います。