今回は経営者の方、特に資金調達を考えている社長様向けに
セーフティネット保証についての発信となります。
改めてとなりますが、セーフティネット保証制度とは中小企業の資金繰りを
助ける制度です。
金融機関から融資を受けるには土地や有価証券などの担保を差し入れるの
ですが、それができる人は少数です。
多くの人はその時に信用保証協会を利用することになります。
信用保証協会とは中小企業への資金供給の円滑化のために設立された
公的機関で、金融機関に対して保証をしてくれます。
信用保証協会は各中小企業に個別に保証金額、いわゆる保証枠を設定して
おり(これを一般枠と言います)、また中小企業の中でも小規模企業(従業員が
製造業で20人以下、小売・サービス業で5人以下など業種別に要件が
あります)に対しては2千万円まで保証してくれます。
そしてセーフティネット保証制度とはその手続きをすることで既に
金融機関から融資を受けていても、新たに別枠を設けてもらえるのです。
そのセーフティネット保証制度には1号から8号まで8類型があり、
類型毎に売上減少等の要件が設定されており、その要件を満たしていれば
申請を受けた市区市町村がそれを認定し、認定書を発行します。
8類型のうち多くの方が利用しているのが4号認定となり、これは
最近1か月の売上、つまり現在であれば今年「2月」の売上が昨年2月の
売上と比較して20%以上減少していることが要件となります。
これを満たしていれば4号保証が認定され、信用保証協会において
新たに別枠が設置されると共に保証協会が金融機関に対して100%保証を
してくれます。
ということは仮に返済が滞った場合には信用保証協会が資金の出し手である
金融機関に対して返済してくれる(代位弁済)ということです。
しかも4号の場合は100%保証、つまり全額を代位弁済してくれます。
これは金融機関からすればノーリスクを意味しており、社内にて
融資の承認を得られやすい、貸しやすいということになります。
ただし、借りた側からすれば債務が消滅するわけではなく、返済する
相手が変わるだけですが、融資を得られやすいという大きなメリットが
あります。
私は自治体で相談員もしていますが、セーフティネット申請の対応も
しています。
ただこのセーフティネット、その内容や手続きの結果得られることを
理解せずに申請に来る方が非常に多いのです。
「この手続きをすると金利はどのくらいになりますか?」
よく聞かれます。
それに対しては、
「これは信用保証協会の別枠を設ける手続きです。そして別枠を得た
後にどの金融機関にどの資金種類を申し込むかで金利が決まりますよ」と
答えることになります。
こうなる一因には経営者から融資の相談を受けた金融機関が
「それではまず、セーフティネット保証の手続きをしてください」と
言うケースがあるように思います。
金融機関にとってはノーリスクになるので当たり前のプロセスかも
しれませんが、問題はセーフティネットについての説明をしていない、
もしくは自分が制度を理解しておらず、相談に来た経営者にちゃんと
説明ができていない担当者が多いということです。
単純に言うと金融機関の担当者は反射的にセーフティネットを取るように
言い、言われた経営者は内容を理解せずに言われたままに申請に来る、
というパターンが本当に多い・・・。
まあ、こんな状況になってセーフティネット保証という制度が表に
出て来た面はあり、金融機関を非難するつもりはありません。
そりゃ詳しくは知らないよね・・・、という気持ちはあります。
ただ、間違った説明はしないで欲しいです・・・。
しかし、このパターン、本当に多い(苦笑い)
そんな中、新型コロナウィルスが登場して1年以上が経ちました。
先程、4号認定には最近1か月の売上が前年同期と比較して20%以上
減少していること、と書きました。
でも、これだけ長期化すると既に昨年2月には影響を受けて売上が
大きく減少していた、というケースも出ています。
これに対処するため新たに緩和措置が五月雨式に発表されており、
これが要件を非常に複雑しています。
基本的に申請を受け入れる方向で緩和されていることが殆どで、事業者の
立場にたっているのですが、様々なケースが考えられることから、
かなり複雑怪奇になっており、対応する我々でも四苦八苦する状況です
(また通達が長々と書かれた文章で頭に入ってこない・・・泣)。
ただ、ここで言いたいことは経営者の方々には自分で内容を理解できずとも
早合点したり放り出したりせずに問い合わせてみて欲しいということです。
融資が下りるかどうかは別にしても、少なくとも融資の申請を可能に
するセーフティネットの手続きに関しては受け入れる方向で進んでおり、
諦めずに事業継続に必要な資金の手当てをやって欲しいということです
また政府や自治体の施策は期限付きですが、その多くは延長になります。
ただ、延長の発表は期限を迎えるギリギリに公表されるケースが殆どです。
なので、もうじき期限が終わるという施策でも、延長になるという可能性を
見込んで検討して頂ければと思います。
長引くコロナ禍で厳しい状況が続き、経営者の方の苦労は本当に大変な
ものと推察します。
活用できる制度を全て利用して頂きたいと思います。