新型コロナウィルスの影響が拡大した昨年は補助金の存在も広く知られる
ところとなり、申請者の激増など動きが多い年でした。
そして今年、新たな補助金が登場する見込みです。
その名も「事業再構築補助金」、正式には「中小企業等事業再構築促進事業」と
言います。
これから閣議決定される令和2年度第3次補正予算に1兆4,850億円の規模で
盛り込まれる見通しです。
何だか金額がデカすぎてピンと来ませんが、設備導入などを行う「ものづくり
補助金」の予算がおおむね1,000億円程度なので、実に14倍。
かなり大きな予算ということが分かります。
で、どんな内容なのか、現時点で分かっていることを以下に記します。
【事業目的】
ウィズコロナの状況の中、従来の事業継続が困難となる中小企業に対して、事業の
再構築や業態転換を支援するための補助金制度。
【補助金額・補助率】
対象は中小企業と中堅企業、それぞれに2種類ずつあり、合計で4類型あるの
ですが、殆どの事業者が該当するであろう「中小企業 通常枠」を説明します。
●補助金額 100万円以上~6,000万円以下
●補助率 2/3
例えば事業再構築費用に900万円かかったら、後から600万円が補助金として
戻ってくるのですね。
【対象要件】
●申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の
同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している
●自社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かしつつ、経産省が示す「事業再構築
指針」に沿った事業計画を認定支援機関等と策定
売上高減少要件や経産省の指針がどのようなものか現時点では分かりません。
近く発表される公募要領をもって詳細が判明するでしょう。
また認定支援機関とは国(経産省、中小企業庁)が認定した公的な支援機関となります
(ちなみに私も認定支援機関となっています)。
【成果目標】
●事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、
または従業員1人あたり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上の増加
付加価値額とは「付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費」のことですが、
「一部5.0%」の内容など、こちらも今後要確認となります。
なお経産省が事業再構築のイメージ例として下記を発表しています。
【例1】
小売店舗による衣服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で売上が減少した
ことを契機に店舗を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換。
【例2】
ガソリン車の部品を製造している事業者が、コロナ危機を契機に従来のサプライ
チェーンが変化する可能性がある中、今後の需要拡大が見込まれるEVや蓄電池に
必要な特殊部品の製造に着手、生産に必要な専用設備を導入。
概要としてはこのようなものです。
指針や具体的な対象経費など詳細はこれからの発表ですが、予算規模も大きく
恐らく単年度ではなく、複数年度にまたがる事業になると予想されます。
これまでの補助金でもそうでしたがスタートから早い時期の方が採択率が高く
なる傾向があります。
できるだけ早めの申請ができるように、貴社の「事業再構築」については
考えておきましょう。
ただし、「補助金ありきの計画」ではダメです。
コロナを見据えて自社の進むべき方向があり、それが結果的に補助金の対象と
なる、であるべきです。
また申請に際しては電子申請となるようで、それには「Jグランツ」という申請システムに
登録してアカウントを作る必要があります。
この手続きには1か月ほど要するので注意しなければなりません。
申請受付開始は早くても3月前半から、多分もう少し遅くなると思いますが、
とにかく早めの準備、早めの申請をお勧めします。
また新たな情報が分かり次第にお知らせします。
資金の手当てや事業の反転攻勢にむけて活用可能な手段はすべてやってみましょう!