最近、「事業再構築補助金に採択されたのにつなぎ融資を
してもらえない」という事業者さんが時々いらっしゃるようです。
ご存知のように補助金の支払いは「後払い」です。
事業者さんは新たな取組みにかかる資金を、いったん自分で
用意する必要があります。
実は「事業再構築補助金」と「融資」は相性が悪いため、
一定の要件を満たす事業者でないと「つなぎ融資」をして
もらえない可能性があります。
そうならないためにも、今回は「事業再構築補助金のつなぎ融資を
してもらえる事業者に必要な要件」についてお話します。
1.なぜ「事業再構築補助金」と「融資」は相性が悪いのか
事業再構築補助金は申請をする上で「今までやったことがない、
新たな取組みを行う」ことが対象となり、「商品・製品・サービスの
新規性」や「ターゲット顧客の新規性」が求められます。
「新たな取組みをすることで、今までとは違う売上を確保する」と
いう趣旨は理解できるのですが、金融機関側の視点では
「経験もノウハウもリソースもなく、既存事業との関係が薄い、
もしくは関係がない事業に踏み出す行為」としか見えません。
つまり、「リスクが大きく失敗する可能性が高い投資になる」と
判断する可能性があり、そうなると融資に慎重になってしまいます。
2.つなぎ融資をしてもらえる事業者に必要な5つの要件
それでも、実際に事業再構築補助金に関する資金を金融機関から
借りることができている事業者はたくさんいます。
そうした事業者は以下の5つの要件のどれかを満たしていると
思われます。
①既存事業で返済が可能
新規事業がうまくいかなくても、既存事業で返済できるだけの
収益力がある場合。
②保全が取れる
しっかりした保証人や担保がある場合は積極的に対応。
③自己資金が潤沢にある
借りる必要がないくらい自己資金が潤沢にある事業者であれば
積極的に対応。
④金融機関と良好な関係が築けている
良好な関係を構築できている金融機関であれば、取引先からの
融資要請を断りにくい。
⑤新規事業の成功確率が高い
厳しめの基準で審査したとしても、新たなビジネスが成功する
可能性が高いと判断した場合。
上記5つの要件を満たしていない場合は、「補助金に採択されても
つなぎ融資をしてもらえる確率は低い」と認識した上で、補助金の
申請に取組まれることをお勧めします。
まず取り組もうとしている新たな事業があって、たまたまそれに
見合う補助金があるので申込む。
これが補助金申請での本来あるべき姿だと思います。
ただ、事業者さんにとって、返す必要がない補助金はやはり
魅力的でしょう。
補助金が出る出ないにかかわらず、取組みを行う事業であれば
補助金に申込むのもいいですが、採択されたのにつなぎ資金を
引き出すことができずに諦めるという展開になったとしら
非常に残念だし、後味の悪いものなってしまいます。
そうならない為にもつなぎ融資をしてもらえそうか否か
現状を把握しておくことが大切です。