事業を続けていくには商品・サービスを用意し、お客さんを見つけ、
実際に注文を獲得する必要があります。
その結果、売上や利益が発生します。
経営者であれば誰もが売上や利益を気にしています。
しかし、会社を維持していくためにはお金、つまり現金が必要です。
そして、売上・利益と現金はイコールではありません。
今回は会社の生命線ともいえる資金繰りについて解説します。
1.資金繰りの重要性
では資金繰りとはどのようなものなのか、改めて確認していきましょう。
1.1 資金繰りとは
「資金繰り」とは、企業が自分たちの事業活動を支えるために
必要な資金を調達し、運用する過程を指します。
資金繰りの良し悪しは、企業の安全性に直結します。
資金繰りが悪化すると、取引先や金融機関への支払いが滞り、
信用を失う可能性があります。
また最悪の場合は支払不能となり倒産に至ることもあります。
企業の倒産は赤字や借金で生じるのではなく、手元の資金が
尽きることで発生します。
反対に常に手元資金が確保されていれば、赤字が続いても企業は
存続します。
特に中小企業は大企業に比べて体力が弱いため資金繰り管理は極めて
重要になります。
必要な資金を調達し、運用する過程を指します。
資金繰りの良し悪しは、企業の安全性に直結します。
資金繰りが悪化すると、取引先や金融機関への支払いが滞り、
信用を失う可能性があります。
また最悪の場合は支払不能となり倒産に至ることもあります。
企業の倒産は赤字や借金で生じるのではなく、手元の資金が
尽きることで発生します。
反対に常に手元資金が確保されていれば、赤字が続いても企業は
存続します。
特に中小企業は大企業に比べて体力が弱いため資金繰り管理は極めて
重要になります。
1.2 売上、利益と資金繰り
多くの経営者が最も気にしているのは売上高でしょう。
次に気にするのは利益。
特に税金が関わる税引前利益です。
売上、利益に関心を寄せること自体は自然なことですが、
資金繰りや現金に着目する視点を忘れてはいけません。
売上、利益と資金繰りは別物です。売上が伸び、利益が出ていても
現金が十分にあるかは直接的には連動しません。
一部の業種以外では売上が発生しても入金は翌月や翌々月になる
ケースがほとんどです。
これは経費支払いも同様で、売上や経費の計上と、それに伴う現金の
出入りには時間的ズレが発生します。
またビジネスが成長して受注や売上が増えるに伴い、
人件費などの経費や仕入も増えます。
つまり売上が発生する前に多くの現金が流出します。
ビジネスが拡大するほど現金は不足するのです。
これを理解していないと、最悪の場合は黒字倒産にもなりかねません。
売上、利益とは別の視点で必ず資金繰り管理に注意を払う必要があります。
次に気にするのは利益。
特に税金が関わる税引前利益です。
売上、利益に関心を寄せること自体は自然なことですが、
資金繰りや現金に着目する視点を忘れてはいけません。
売上、利益と資金繰りは別物です。売上が伸び、利益が出ていても
現金が十分にあるかは直接的には連動しません。
一部の業種以外では売上が発生しても入金は翌月や翌々月になる
ケースがほとんどです。
これは経費支払いも同様で、売上や経費の計上と、それに伴う現金の
出入りには時間的ズレが発生します。
またビジネスが成長して受注や売上が増えるに伴い、
人件費などの経費や仕入も増えます。
つまり売上が発生する前に多くの現金が流出します。
ビジネスが拡大するほど現金は不足するのです。
これを理解していないと、最悪の場合は黒字倒産にもなりかねません。
売上、利益とは別の視点で必ず資金繰り管理に注意を払う必要があります。
1.3 大事な順番は現金>利益>売上
大企業に比べて経営資源に劣る中小企業が安定的に事業継続する
ために重要なことは何か?
あえて1つあげるとすれば、それは「現金」を枯渇させないことに尽きます。
すでに述べたように売上が減ろうと赤字になろうと現金がある限りは倒産しません。
まず大事なのは現金。次に利益、正確に言うと利益額、最後が売上高になります。
これを意識しておきたいところです。
ために重要なことは何か?
あえて1つあげるとすれば、それは「現金」を枯渇させないことに尽きます。
すでに述べたように売上が減ろうと赤字になろうと現金がある限りは倒産しません。
まず大事なのは現金。次に利益、正確に言うと利益額、最後が売上高になります。
これを意識しておきたいところです。
1.4 最低でも月商1か月分の現金を確保する
ではどのくらいの現金を持っておけば良いのか?
これに正解というものはありませんが、最低限の目安としては
平均的な月売上高と同等額になります。
ただし、これは最低限です。
多くのビジネスは売上とほぼ同額の支払いが発生します。
売上高経常利益率5%といえば、一般的には高収益と言えます。
これは売上が100 あれば、経費として95 は出ていくことを意味します。
つまり売上と同じくらい支出が発生するのです。
手元現金が平均的な月商と同等であれば、その月の支払いに対応できます。
しかし、現金残高が月商の1 か月分未満なら、入金がないと手元資金だけ
では支払できない、いわゆる自転車操業状態になります。
理想としては平均月商の3 か月分あれば安心でしょう。
これに正解というものはありませんが、最低限の目安としては
平均的な月売上高と同等額になります。
ただし、これは最低限です。
多くのビジネスは売上とほぼ同額の支払いが発生します。
売上高経常利益率5%といえば、一般的には高収益と言えます。
これは売上が100 あれば、経費として95 は出ていくことを意味します。
つまり売上と同じくらい支出が発生するのです。
手元現金が平均的な月商と同等であれば、その月の支払いに対応できます。
しかし、現金残高が月商の1 か月分未満なら、入金がないと手元資金だけ
では支払できない、いわゆる自転車操業状態になります。
理想としては平均月商の3 か月分あれば安心でしょう。
1.5 「儲かっている」とは
「儲かっている」とはどんなことでしょうか?
これに答えるならば、「儲かっている」とは「現金が増えている」ことに
なります。
ビジネスが順調に成長して、それに伴い現金残高が増えているなら
儲かっています。
しかし売上や利益が増えても現金が増えていなければ、儲かっていません。
もちろん、いま現金があまり多くないとしても、儲かって増えた現金を
更なる成長へ向けて投資に使っているなら良い循環が生まれており、
企業が本来あるべき姿と言えます。
これに答えるならば、「儲かっている」とは「現金が増えている」ことに
なります。
ビジネスが順調に成長して、それに伴い現金残高が増えているなら
儲かっています。
しかし売上や利益が増えても現金が増えていなければ、儲かっていません。
もちろん、いま現金があまり多くないとしても、儲かって増えた現金を
更なる成長へ向けて投資に使っているなら良い循環が生まれており、
企業が本来あるべき姿と言えます。
2. 資金繰り改善の対応策
資金繰り改善の手法はいろいろあり、各企業がおかれている状況によっても
変わってきますが、ここでは代表的なものについて解説します。
変わってきますが、ここでは代表的なものについて解説します。
2.1 資金繰りの改善策
ここでは資金繰りの改善策として9つ取り上げます。
どれも当たり前と言えば当たり前のことです。
1) 現在のビジネスを見直す
ビジネスは様々な仮説に基づいて展開されています。
実績を振り返りながら、この先も現在のビジネスが成立するか
再検討する必要があります。
• 価格設定は本当に適切か。必要以上に安く売っていないか?
• 想定通りの粗利益額は確保できているか?
⇒ 販売価格だけでなく、仕入価格や製造費用などの低減余地はないか?
• 不採算の商品/ サービスや事業がないか?
⇒ あるのであれば、縮小や撤退を検討する
⇒ 中小企業の場合は改善や縮小よりも撤退が優先的な選択肢
• サブスク型など事前に代金をもらう形態にできないか?
⇒ 先に資金が出ていく構造から、先に資金を回収できるモデルに
変換できれば、資金繰り改善に効果的
2)入出金サイクルの見直し
資金繰りの鉄則は「回収は早く、支払は遅く」です。
• 販売先、支払い先と交渉してみる
⇒ 販売先に対して回収条件の変更を、仕入先には支払い条件の変更を交渉
⇒ 自ら「そんなことは無理」と決めつけないこと
• 条件が良い相手との取引を増やす
⇒ 条件が悪い先との取引を一気に無くさずとも、割合を変化させていくこと
3) 債権管理を徹底する
組織として小規模になるほど、各人の負担が大きくなること
から業務の見落としがないか注意する必要があります。
• 請求漏れがないか確認
⇒ 社内でチェック体制を整えて、未請求など作業に抜け漏れがないように
• 期日までに支払いがない場合は催促
⇒ 取引先から期日までに支払いがない場合は間髪入れずに催促の連絡をする
⇒ 場合によっては督促状や内容証明郵便を発送する
⇒ 取引先の未払に対して決してルーズな対応を取らないこと
• 回収不能と判断した場合は放置せずに貸し倒れ処理
⇒ 貸倒損失は損金として経費計上可能
⇒ 経費計上した分だけ利益が圧縮されて節税となる
4) 不良在庫を圧縮する
在庫はできるだけ早く販売して、売上代金を回収すべきです。
しかし、倉庫にある限りは現金流出だけが発生して回収できて
いないのですから、資金繰りには大いに悪影響です。
動きが鈍い商品や販売が見込めない在庫には早急に対応する必要が
あり、対応としては値引き販売と廃棄があります。
値引き販売すれば本来見込んでいた粗利額の確保はできない
かもしれません。
しかし、そうであっても販売すればキャッシュインが発生します。
また廃棄であれば廃棄損を計上します。廃棄損は損金として
計上できるので利益が圧縮されて節税になります。
5) 不要な固定資産は売却する
固定資産も在庫と同様に現金が有形無形のモノに変わっている状態です。
それが収益に貢献しないのなら所有する意味がありません。
固定資産は持っているだけで何かと経費がかかるので資金繰りにはマイナスです。
• 機械設備や建物、車両など使っていない、今後も使う予定がない資産は売却する
⇒ 売却すれば、売却代金が入る。
⇒ 売却損が発生すれば損金として経費計上されて利益が圧縮となり節税できる
• 固定資産の購入を検討する際はリースで代用できないか検討
そもそも、貸借対照表の左側に並ぶ「資産」とは「現金が別のものに変化した」と
いうことです。
資金繰りの観点からはできるだけ資産は持たないようにすることが肝心であり、
資産が多いほど本来は手元にあるはずの現金が流出していることになります。
「資産はできるだけ持たない」ことを心がけましょう。
6) ムダな固定費がないかチェックする
固定費とは「販売費および一般管理費( 販管費)」のことです。
販管費の多くは人件費や家賃が占めますが、それ以外にも様々な経費が含まれます。
そうは削減できるムダはないでしょうが、改めてムダはないか検証することは有効です。
• オフィスや倉庫などは必要以上のスペースを借りてないか?
⇒ 特に倉庫は確認が必要
⇒ 場合によっては移転や家賃の減額交渉を
• つきあいで加入している団体会費や過分な保険加入なども要チェック
⇒ 必要なければ脱退や解約
• 様々な経費支払いを現金からクレジットカードへ変更することも有効
⇒ クレジット払いなら現金支出を先に繰り延べることができ、その分だけ
資金繰りは楽に
7) 過度な節税をしていないかチェックする
懸命に事業に取り組んだ結果、多くの税金が発生することにやり切れない
気持ちを抱くのも理解できます。
節税はすべきです。
しかし、それは適正の範囲内で行うものです。
経営者によっては、何としても税金を減らしたいと、利益を圧縮することがあります。
そのため、本来は必要のないモノやサービスを購入し、経費を増やして利益を減額します。
すると、余計な現金支出が発生して、自ら資金繰りを悪くさせる結果になります。
過度な節税をすれば、純利益が少なくなり、自己資本は一向に増えません。
金融機関からの評価も高まらず、自社の安全性も低下します。
8) 金融機関に融資を申し込む
資金繰り改善には、まず社内でできることから着手するのが基本ですが、
他の手段として融資による資金調達があります。
資金繰りが悪化している、決算書の内容が良くない、など懸念点があると
しても、自己判断であきらめる必要はありません。
金融機関にも都合があります。
場合によっては融資に応じてくれるかもしれません。
仮に断られたとしても自社の現状を伝えることができます。
融資を申し込む際には新規の追加融資よりも借換を希望しましょう。
既存の融資を借り換える、複数ある融資を1つにまとめることで、
新たに元金の返済猶予期間である据置を再設定して、月の元金返済額を
減らせば資金繰りは楽になります。
9) 資金調達できなければリスケジュールする
融資申請を否決され、この先6 か月までの支払いが不安なら、行うべきは
リスケジュール(リスケ) です。
リスケとは条件変更、「本来払うべき借入金の返済額を減額、もしくはゼロにする」を
意味します。
ここで金融機関に事前に融資を申し込んだことが意味を持ってきます。
つまり「資金繰りが苦しいので融資を申し込んだが断られた。したがってリスケするしかない」と
いうストーリーを作ることができます。
金融機関としても、融資を謝絶した以上はリスケも仕方なし、という判断をしやすくなります。
どれも当たり前と言えば当たり前のことです。
1) 現在のビジネスを見直す
ビジネスは様々な仮説に基づいて展開されています。
実績を振り返りながら、この先も現在のビジネスが成立するか
再検討する必要があります。
• 価格設定は本当に適切か。必要以上に安く売っていないか?
• 想定通りの粗利益額は確保できているか?
⇒ 販売価格だけでなく、仕入価格や製造費用などの低減余地はないか?
• 不採算の商品/ サービスや事業がないか?
⇒ あるのであれば、縮小や撤退を検討する
⇒ 中小企業の場合は改善や縮小よりも撤退が優先的な選択肢
• サブスク型など事前に代金をもらう形態にできないか?
⇒ 先に資金が出ていく構造から、先に資金を回収できるモデルに
変換できれば、資金繰り改善に効果的
2)入出金サイクルの見直し
資金繰りの鉄則は「回収は早く、支払は遅く」です。
• 販売先、支払い先と交渉してみる
⇒ 販売先に対して回収条件の変更を、仕入先には支払い条件の変更を交渉
⇒ 自ら「そんなことは無理」と決めつけないこと
• 条件が良い相手との取引を増やす
⇒ 条件が悪い先との取引を一気に無くさずとも、割合を変化させていくこと
3) 債権管理を徹底する
組織として小規模になるほど、各人の負担が大きくなること
から業務の見落としがないか注意する必要があります。
• 請求漏れがないか確認
⇒ 社内でチェック体制を整えて、未請求など作業に抜け漏れがないように
• 期日までに支払いがない場合は催促
⇒ 取引先から期日までに支払いがない場合は間髪入れずに催促の連絡をする
⇒ 場合によっては督促状や内容証明郵便を発送する
⇒ 取引先の未払に対して決してルーズな対応を取らないこと
• 回収不能と判断した場合は放置せずに貸し倒れ処理
⇒ 貸倒損失は損金として経費計上可能
⇒ 経費計上した分だけ利益が圧縮されて節税となる
4) 不良在庫を圧縮する
在庫はできるだけ早く販売して、売上代金を回収すべきです。
しかし、倉庫にある限りは現金流出だけが発生して回収できて
いないのですから、資金繰りには大いに悪影響です。
動きが鈍い商品や販売が見込めない在庫には早急に対応する必要が
あり、対応としては値引き販売と廃棄があります。
値引き販売すれば本来見込んでいた粗利額の確保はできない
かもしれません。
しかし、そうであっても販売すればキャッシュインが発生します。
また廃棄であれば廃棄損を計上します。廃棄損は損金として
計上できるので利益が圧縮されて節税になります。
5) 不要な固定資産は売却する
固定資産も在庫と同様に現金が有形無形のモノに変わっている状態です。
それが収益に貢献しないのなら所有する意味がありません。
固定資産は持っているだけで何かと経費がかかるので資金繰りにはマイナスです。
• 機械設備や建物、車両など使っていない、今後も使う予定がない資産は売却する
⇒ 売却すれば、売却代金が入る。
⇒ 売却損が発生すれば損金として経費計上されて利益が圧縮となり節税できる
• 固定資産の購入を検討する際はリースで代用できないか検討
そもそも、貸借対照表の左側に並ぶ「資産」とは「現金が別のものに変化した」と
いうことです。
資金繰りの観点からはできるだけ資産は持たないようにすることが肝心であり、
資産が多いほど本来は手元にあるはずの現金が流出していることになります。
「資産はできるだけ持たない」ことを心がけましょう。
6) ムダな固定費がないかチェックする
固定費とは「販売費および一般管理費( 販管費)」のことです。
販管費の多くは人件費や家賃が占めますが、それ以外にも様々な経費が含まれます。
そうは削減できるムダはないでしょうが、改めてムダはないか検証することは有効です。
• オフィスや倉庫などは必要以上のスペースを借りてないか?
⇒ 特に倉庫は確認が必要
⇒ 場合によっては移転や家賃の減額交渉を
• つきあいで加入している団体会費や過分な保険加入なども要チェック
⇒ 必要なければ脱退や解約
• 様々な経費支払いを現金からクレジットカードへ変更することも有効
⇒ クレジット払いなら現金支出を先に繰り延べることができ、その分だけ
資金繰りは楽に
7) 過度な節税をしていないかチェックする
懸命に事業に取り組んだ結果、多くの税金が発生することにやり切れない
気持ちを抱くのも理解できます。
節税はすべきです。
しかし、それは適正の範囲内で行うものです。
経営者によっては、何としても税金を減らしたいと、利益を圧縮することがあります。
そのため、本来は必要のないモノやサービスを購入し、経費を増やして利益を減額します。
すると、余計な現金支出が発生して、自ら資金繰りを悪くさせる結果になります。
過度な節税をすれば、純利益が少なくなり、自己資本は一向に増えません。
金融機関からの評価も高まらず、自社の安全性も低下します。
8) 金融機関に融資を申し込む
資金繰り改善には、まず社内でできることから着手するのが基本ですが、
他の手段として融資による資金調達があります。
資金繰りが悪化している、決算書の内容が良くない、など懸念点があると
しても、自己判断であきらめる必要はありません。
金融機関にも都合があります。
場合によっては融資に応じてくれるかもしれません。
仮に断られたとしても自社の現状を伝えることができます。
融資を申し込む際には新規の追加融資よりも借換を希望しましょう。
既存の融資を借り換える、複数ある融資を1つにまとめることで、
新たに元金の返済猶予期間である据置を再設定して、月の元金返済額を
減らせば資金繰りは楽になります。
9) 資金調達できなければリスケジュールする
融資申請を否決され、この先6 か月までの支払いが不安なら、行うべきは
リスケジュール(リスケ) です。
リスケとは条件変更、「本来払うべき借入金の返済額を減額、もしくはゼロにする」を
意味します。
ここで金融機関に事前に融資を申し込んだことが意味を持ってきます。
つまり「資金繰りが苦しいので融資を申し込んだが断られた。したがってリスケするしかない」と
いうストーリーを作ることができます。
金融機関としても、融資を謝絶した以上はリスケも仕方なし、という判断をしやすくなります。
2.2 資金繰り表を作成する
資金繰りの悪化を未然に防ぐには「資金繰り表」を作成することです。
資金繰り表を作っているだけで金融機関から評価が高まると言っても過言ではありません。
ただ、作るには手間がかかりますが難しくはありません。
その点では「慣れ」の問題ともいえます。
ただ、手間をかけても資金繰り表にはそれだけの価値があります。
多少の誤差は気にしなくても構いません。
各月の入金と支払、
月中や月末にどれくらいの残高があるか見当をつけておくことに意味あります。
資金繰り表を作成するには、実際の入金や出金、調達する資金額、
元金返済額などを月別に記載します。
予定ベースで構いません。
基本的にそれだけです。
慣れないうちは詳しい専門家に相談しながらやることをお勧めします。
是非6 か月先まで、最低でも3 か月先までの資金繰り表を作成して、
現金の過不足の予測をしておいてください。
資金繰り表を作っているだけで金融機関から評価が高まると言っても過言ではありません。
ただ、作るには手間がかかりますが難しくはありません。
その点では「慣れ」の問題ともいえます。
ただ、手間をかけても資金繰り表にはそれだけの価値があります。
多少の誤差は気にしなくても構いません。
各月の入金と支払、
月中や月末にどれくらいの残高があるか見当をつけておくことに意味あります。
資金繰り表を作成するには、実際の入金や出金、調達する資金額、
元金返済額などを月別に記載します。
予定ベースで構いません。
基本的にそれだけです。
慣れないうちは詳しい専門家に相談しながらやることをお勧めします。
是非6 か月先まで、最低でも3 か月先までの資金繰り表を作成して、
現金の過不足の予測をしておいてください。
3. 金融機関との付き合い方
事業を継続していくうえで金融機関の活用は欠かせないものです。
どうせ付き合うのであれば、より良い関係を構築する方が何かとご利益も
あるものです。
ここでは金融機関との付き合い方について解説します。
どうせ付き合うのであれば、より良い関係を構築する方が何かとご利益も
あるものです。
ここでは金融機関との付き合い方について解説します。
3.1 金融機関の考え方
ここでは銀行や信用金庫など金融機関の考え方についてみていきましょう。
いろいろな要素がありますが、まずはこの3つです。
• 見ず知らずの会社にはすぐには貸さない
• 自社の都合を押し付ける会社には貸さない
• 返せそうにない会社には貸さない
そう、いたってシンプルです。個人同士の付き合いと同じと言えます。
もちろん初めての取引でも決算書の内容が良ければ、融資に応じることも
ありますが、根底にある考え方はこの通りであり、取引に至るには時間が
かかると認識しておきましょう。
いろいろな要素がありますが、まずはこの3つです。
• 見ず知らずの会社にはすぐには貸さない
• 自社の都合を押し付ける会社には貸さない
• 返せそうにない会社には貸さない
そう、いたってシンプルです。個人同士の付き合いと同じと言えます。
もちろん初めての取引でも決算書の内容が良ければ、融資に応じることも
ありますが、根底にある考え方はこの通りであり、取引に至るには時間が
かかると認識しておきましょう。
3.2 傘は晴れの日に借りておく
このような言葉を聞いたことはないでしょうか。
「金融機関は晴れの日に傘を貸して、雨の日に傘を取り上げる」
中小企業が奮闘するテレビドラマにも登場したようです。
この言葉を聞いてどう感じますか。
「困っているから資金のお願いをしているのに、そんな時に貸さないなんて。
そこで貸すのが金融機関の仕事のはずだ」と感じるでしょうか。
しかし、この言葉の適切な解釈としては以下となります。
「金融機関としては【晴れの日=業績がいいとき】に融資に応じやすく、
【雨の日=業績がわるいとき】には応じにくい」
資金繰りに困るような状況になって融資のお願いに行っても金融機関も
応えることが難しいのです。
これは経営者側からすれば、業績の良い時や平時こそ資金調達のチャンスで
あるということです。
業績が良ければ初めての取引にも応じてもらえる可能性は高まります。
資金繰りが悪くなる前に、余裕があるうちに先手を打って資金を確保することが肝要です。
「金融機関は晴れの日に傘を貸して、雨の日に傘を取り上げる」
中小企業が奮闘するテレビドラマにも登場したようです。
この言葉を聞いてどう感じますか。
「困っているから資金のお願いをしているのに、そんな時に貸さないなんて。
そこで貸すのが金融機関の仕事のはずだ」と感じるでしょうか。
しかし、この言葉の適切な解釈としては以下となります。
「金融機関としては【晴れの日=業績がいいとき】に融資に応じやすく、
【雨の日=業績がわるいとき】には応じにくい」
資金繰りに困るような状況になって融資のお願いに行っても金融機関も
応えることが難しいのです。
これは経営者側からすれば、業績の良い時や平時こそ資金調達のチャンスで
あるということです。
業績が良ければ初めての取引にも応じてもらえる可能性は高まります。
資金繰りが悪くなる前に、余裕があるうちに先手を打って資金を確保することが肝要です。
3.3 日頃の付き合い方
ではすでに取引を行っている場合、金融機関と日頃どのように付き合えば
いいのでしょうか。
やはり大事なことはコミュニケーションです。
メガバンクや大手地方銀行はともかく、各支店で営業エリアが決まっている
信用金庫や信用組合であれば通常は1 社にひとり担当者がつきます。
まずは彼らと意思疎通しながら、以下のようなことにも留意してください。
1) 定期的に金融機関を訪問する
これをやっている経営者はあまりいません。
しかし、取引先の来訪を嫌がる金融機関はありません。
この小さな積み重ねが金融機関と良好な関係構築に寄与します。
2) 担当者以外にも面識を
担当者だけでなく、その上司、支店長や貸付責任者とも面識を作っておきましょう。
金融機関は2~3年程度で異動になるのが慣例です。
いい関係になったと思ったら、異動でいなくなったりします。
その時に別の誰かと面識があれば、良好な関係性を継続することができます。
3)月次の試算表ができあがったら訪問のチャンス
とは言え、「相手も忙しいのに訪問するのは気が引ける」と感じるかもしれません。
そんな時はお土産を持っていくことです。
ここで言うお土産とは月々の実績をまとめた試算表になります。
これは訪問するいい理由になります。
少しの時間で構いません。
3か月に1度でいいので訪問して業績の説明をする。
これは金融機関にしてもありがたいことなのです。
先述したように金融機関との付き合いも個人と同じ。
お互いを知っていれば、相手が困っている時に何とかしてあげたいと
思うのが人情です。
1回の訪問は10 分程度で構わないので、できるだけ定期的に回数を多く
会うことが重要です。
いいのでしょうか。
やはり大事なことはコミュニケーションです。
メガバンクや大手地方銀行はともかく、各支店で営業エリアが決まっている
信用金庫や信用組合であれば通常は1 社にひとり担当者がつきます。
まずは彼らと意思疎通しながら、以下のようなことにも留意してください。
1) 定期的に金融機関を訪問する
これをやっている経営者はあまりいません。
しかし、取引先の来訪を嫌がる金融機関はありません。
この小さな積み重ねが金融機関と良好な関係構築に寄与します。
2) 担当者以外にも面識を
担当者だけでなく、その上司、支店長や貸付責任者とも面識を作っておきましょう。
金融機関は2~3年程度で異動になるのが慣例です。
いい関係になったと思ったら、異動でいなくなったりします。
その時に別の誰かと面識があれば、良好な関係性を継続することができます。
3)月次の試算表ができあがったら訪問のチャンス
とは言え、「相手も忙しいのに訪問するのは気が引ける」と感じるかもしれません。
そんな時はお土産を持っていくことです。
ここで言うお土産とは月々の実績をまとめた試算表になります。
これは訪問するいい理由になります。
少しの時間で構いません。
3か月に1度でいいので訪問して業績の説明をする。
これは金融機関にしてもありがたいことなのです。
先述したように金融機関との付き合いも個人と同じ。
お互いを知っていれば、相手が困っている時に何とかしてあげたいと
思うのが人情です。
1回の訪問は10 分程度で構わないので、できるだけ定期的に回数を多く
会うことが重要です。
3.4 複数の金融機関と取引しておく
資金調達においては意図的に複数の金融機関と取引しておくことが賢明です。
全ての金融機関から同等額を借りる必要はなく、メリハリをつけて少額の
調達先があっても大丈夫です。
こうすることによる効果について以下のようなものがあります。
1) 1つがダメでもほかに可能性を残せる
取引金融機関が1つであれば、そこから断られたら新たな資金調達の可能性が
ほぼ無くなります。
しかし、複数の金融機関と取引をしていれば、他から調達できる可能性を残せます。
2) 金融機関同士を競争させることができる
複数と付合いがあれば金融機関同士を競わせることができます。
金融機関はお互いがライバルであり、かつ横並び意識も強いものです。
金融機関へ自社の都合や希望を一方的に押し付けてはいけませんが、うまく交渉して
競争をさせることで金利の引き下げなどにつながることもあります。
3)金融機関により融資金の価値は違う
金融機関といっても様々。メガバンクと信用金庫ではその規模は大人と子供ほどの
差があります。
融資量についても両者では大きく違います。
メガなら一行あたりの融資金額は約90 兆円、信用金庫はトップレベルでも2.5 兆円
程度となり雲泥の差です。
つまり、同じ1 千万円の融資でも金融機関により金額の価値、インパクト、有難みが
違うということです。
当然、回収不能リスクに対する感じ方も違います。
これを理解した上で資金調達時の参考にすることもできます。
全ての金融機関から同等額を借りる必要はなく、メリハリをつけて少額の
調達先があっても大丈夫です。
こうすることによる効果について以下のようなものがあります。
1) 1つがダメでもほかに可能性を残せる
取引金融機関が1つであれば、そこから断られたら新たな資金調達の可能性が
ほぼ無くなります。
しかし、複数の金融機関と取引をしていれば、他から調達できる可能性を残せます。
2) 金融機関同士を競争させることができる
複数と付合いがあれば金融機関同士を競わせることができます。
金融機関はお互いがライバルであり、かつ横並び意識も強いものです。
金融機関へ自社の都合や希望を一方的に押し付けてはいけませんが、うまく交渉して
競争をさせることで金利の引き下げなどにつながることもあります。
3)金融機関により融資金の価値は違う
金融機関といっても様々。メガバンクと信用金庫ではその規模は大人と子供ほどの
差があります。
融資量についても両者では大きく違います。
メガなら一行あたりの融資金額は約90 兆円、信用金庫はトップレベルでも2.5 兆円
程度となり雲泥の差です。
つまり、同じ1 千万円の融資でも金融機関により金額の価値、インパクト、有難みが
違うということです。
当然、回収不能リスクに対する感じ方も違います。
これを理解した上で資金調達時の参考にすることもできます。
4. 資金調達の可能性を高める
資金調達を成功させる可能性を高めるためにできることがあります。
ここではその手法について解説します。
ここではその手法について解説します。
4.1 決算書の見栄えをよくする
決算を税理士に任せにしている経営者は多いですが、それはとても
もったいないことです。
審査過程で決算書のどこを重視するかは金融機関それぞれです。
しかし、言えるのは金融機関は決算書を元に検討するしかない、ということです。
決算書は必ずしも「真実」を表しているとは限りませんが、それでも極めて
大きな判断材料になります。
であれば、「見栄え」を気にすることは重要です。
それでは見栄えを良くするために、どのようなことができるかについて
見ていきましょう。
1)営業黒字になっているか
当然、本業の業績を表す営業利益は黒字が望ましいです。
1 年ならともかく、3 期連続営業赤字なら資金調達は難しくなります。
売上に計上できるものは売上に計上する。定款にある事業内容に関連する
ものなら売上計上できます。
また経費も販管費ではなく営業外費用や特別損失に計上できるなら、営業利益を
増やせます。
手を尽くして営業利益を黒字に、金額をより大きくするべきです。
2)減価償却費はちゃんと計上する
前項の内容と相反するようですが減価償却費はちゃんと計上しましょう。
減価償却を計上すれば経費が増え、営業利益はその分だけ減ります。
減価償却費は法人税法で規定されており、上限のみが定められ、下限は
定められていません。
つまり任意であり罰則規定もありません。
しかし、妥当と認められる会計基準のもと必ず計上しなくてはなりません。
計上しないことで営業利益を黒字にしても金融機関はお見通しです。
決算書を見ればわかるのですから。
減価償却費は適切に計上しましょう。
3)貸付金、仮払金はないか
貸借対照表の資産に貸付金や仮払金が記載されていませんか。
これらの科目は金融機関がとても嫌います。
なぜなら「使途不明金」だからです。
貸付金の典型例は事業運営のために融資した資金が社長個人へ流れることです。
しかも社長がそれを何に使ったかもわかりません。
本来の趣旨とは違う使われ方をしており、資金使途違反と判断されても仕方がないものです。
仮払金は出張時に仮払いを受けて、帰着後に精算をせずに放置しているケースがあります。
精算をせずにいると損金計上されず利益が増えて税金が増えます。
金融機関からも「ルーズな会社」という見方をされ、「資金調達の可能性を高める」と
いう点においていいことは何もありません。
4)現預金残高
貸借対照表の左側一番上の目立つ場所に現預金が記載されています。
金融機関も審査にあたり、現預金残高は重視しています。
これは利益の積み重ねであろうと、借入金であろうと会社の安全性の観点では
できるだけ多くあるのが望ましいです。
ところで自社にとって1 年で最も現預金残高が多くなる月はあるでしょうか。
あればその月を決算月にすると見栄えが良くなります。
たとえばケーキ屋さんならクリスマス周辺が年間の販売ピークでしょう。
そして代金はその場で現金回収が多いとすれば12 月末が1 年でもっとも手元現金が
多くなります。
であれば12 月末決算にします。
仕入や経費支払いとの兼合いもありますが、手元現金が多く記載された見栄えの
良い決算書になります。
5) 自己資本比率
返済が必要な負債と返済不要の自己資金を合わせた「負債・自己資金の合計額」に
対して「自己資金」が占める割合のことを指します。
企業の安定性や健全性を指す指標とされ、金融機関により重視する度合いに差は
ありますが一般的には自己資本比率が高いほど評価されます。
中小企業では20%以上あれば優秀と言ってもいいでしょう。
ここでお伝えしたいのは先述した「過度な節税になっていないか」ということです。
税引き後の当期純利益は貸借対照表の右下にある「純資産の部」の「繰越利益剰余金」に
加算されます。
毎年の純利益( 純損失) がここへ積み重なっていきます。
自己資本比率が高まる要因の1つは繰越利益剰余金が増えることです。
しかし、利益が少なければ繰越利益剰余金は増えていきません。
利益があまり出なかった場合は仕方ありません。しかし利益はしっかり出たのに税金を
払いたくないと必要以上の経費を使い、利益を圧縮して過度な節税をすると純利益は減り、
繰越利益剰余金も増えません。
しかも現金を余計に減らすというオマケまでついてきます。
そのようなことにならないように注意する必要があります。
6) 疑念を抱かせるような項目はないか
上記以外に不自然な部分や疑念を与えるような項目がないか確認しましょう。
たとえば在庫が前年よりも大幅に増えている。あるいは売掛金が例年になく
多くなっている。
実際にそのようなこともあるでしょう。
そうした記載がある決算書をただ金融機関に渡すだけでは相手に勝手な解釈をされたり、
あらぬ疑問を持たれたりしかねません。
そうした「目立つ」項目があれば、金融機関に対して是非説明を加えましょう。
理由と解消の見込みなどが分かれば相手も納得できます。
7) 適正な決算をしていることをアピールする
大企業なら監査法人が精査するので決算書の内容についてある程度の信用があります。
一方、中小企業は株主や市場の評価にさらされることがなく、監査法人による厳格な
精査もありません。
正直なところ自己申告に過ぎないと言え、信頼性もいまひとつです。
社長の考え方ひとつで決算内容は恣意的に操作することが可能であり、決算内容は
「その会社の意見」とも言えます。
だからこそ、会計基準にのっとり適正な決算を行っていることを金融機関へアピール
することに意味があります。
少なくとも、そうした考えや姿勢を見せるだけでも「まっとうな会社」として評価を
高めることが期待できます。
もったいないことです。
審査過程で決算書のどこを重視するかは金融機関それぞれです。
しかし、言えるのは金融機関は決算書を元に検討するしかない、ということです。
決算書は必ずしも「真実」を表しているとは限りませんが、それでも極めて
大きな判断材料になります。
であれば、「見栄え」を気にすることは重要です。
それでは見栄えを良くするために、どのようなことができるかについて
見ていきましょう。
1)営業黒字になっているか
当然、本業の業績を表す営業利益は黒字が望ましいです。
1 年ならともかく、3 期連続営業赤字なら資金調達は難しくなります。
売上に計上できるものは売上に計上する。定款にある事業内容に関連する
ものなら売上計上できます。
また経費も販管費ではなく営業外費用や特別損失に計上できるなら、営業利益を
増やせます。
手を尽くして営業利益を黒字に、金額をより大きくするべきです。
2)減価償却費はちゃんと計上する
前項の内容と相反するようですが減価償却費はちゃんと計上しましょう。
減価償却を計上すれば経費が増え、営業利益はその分だけ減ります。
減価償却費は法人税法で規定されており、上限のみが定められ、下限は
定められていません。
つまり任意であり罰則規定もありません。
しかし、妥当と認められる会計基準のもと必ず計上しなくてはなりません。
計上しないことで営業利益を黒字にしても金融機関はお見通しです。
決算書を見ればわかるのですから。
減価償却費は適切に計上しましょう。
3)貸付金、仮払金はないか
貸借対照表の資産に貸付金や仮払金が記載されていませんか。
これらの科目は金融機関がとても嫌います。
なぜなら「使途不明金」だからです。
貸付金の典型例は事業運営のために融資した資金が社長個人へ流れることです。
しかも社長がそれを何に使ったかもわかりません。
本来の趣旨とは違う使われ方をしており、資金使途違反と判断されても仕方がないものです。
仮払金は出張時に仮払いを受けて、帰着後に精算をせずに放置しているケースがあります。
精算をせずにいると損金計上されず利益が増えて税金が増えます。
金融機関からも「ルーズな会社」という見方をされ、「資金調達の可能性を高める」と
いう点においていいことは何もありません。
4)現預金残高
貸借対照表の左側一番上の目立つ場所に現預金が記載されています。
金融機関も審査にあたり、現預金残高は重視しています。
これは利益の積み重ねであろうと、借入金であろうと会社の安全性の観点では
できるだけ多くあるのが望ましいです。
ところで自社にとって1 年で最も現預金残高が多くなる月はあるでしょうか。
あればその月を決算月にすると見栄えが良くなります。
たとえばケーキ屋さんならクリスマス周辺が年間の販売ピークでしょう。
そして代金はその場で現金回収が多いとすれば12 月末が1 年でもっとも手元現金が
多くなります。
であれば12 月末決算にします。
仕入や経費支払いとの兼合いもありますが、手元現金が多く記載された見栄えの
良い決算書になります。
5) 自己資本比率
返済が必要な負債と返済不要の自己資金を合わせた「負債・自己資金の合計額」に
対して「自己資金」が占める割合のことを指します。
企業の安定性や健全性を指す指標とされ、金融機関により重視する度合いに差は
ありますが一般的には自己資本比率が高いほど評価されます。
中小企業では20%以上あれば優秀と言ってもいいでしょう。
ここでお伝えしたいのは先述した「過度な節税になっていないか」ということです。
税引き後の当期純利益は貸借対照表の右下にある「純資産の部」の「繰越利益剰余金」に
加算されます。
毎年の純利益( 純損失) がここへ積み重なっていきます。
自己資本比率が高まる要因の1つは繰越利益剰余金が増えることです。
しかし、利益が少なければ繰越利益剰余金は増えていきません。
利益があまり出なかった場合は仕方ありません。しかし利益はしっかり出たのに税金を
払いたくないと必要以上の経費を使い、利益を圧縮して過度な節税をすると純利益は減り、
繰越利益剰余金も増えません。
しかも現金を余計に減らすというオマケまでついてきます。
そのようなことにならないように注意する必要があります。
6) 疑念を抱かせるような項目はないか
上記以外に不自然な部分や疑念を与えるような項目がないか確認しましょう。
たとえば在庫が前年よりも大幅に増えている。あるいは売掛金が例年になく
多くなっている。
実際にそのようなこともあるでしょう。
そうした記載がある決算書をただ金融機関に渡すだけでは相手に勝手な解釈をされたり、
あらぬ疑問を持たれたりしかねません。
そうした「目立つ」項目があれば、金融機関に対して是非説明を加えましょう。
理由と解消の見込みなどが分かれば相手も納得できます。
7) 適正な決算をしていることをアピールする
大企業なら監査法人が精査するので決算書の内容についてある程度の信用があります。
一方、中小企業は株主や市場の評価にさらされることがなく、監査法人による厳格な
精査もありません。
正直なところ自己申告に過ぎないと言え、信頼性もいまひとつです。
社長の考え方ひとつで決算内容は恣意的に操作することが可能であり、決算内容は
「その会社の意見」とも言えます。
だからこそ、会計基準にのっとり適正な決算を行っていることを金融機関へアピール
することに意味があります。
少なくとも、そうした考えや姿勢を見せるだけでも「まっとうな会社」として評価を
高めることが期待できます。
4.2 金融機関にも都合がある
金融機関も支店や担当者ごとに預金貸出など個別に目標が設定されています。
彼らも上司から評価される会社員ですから、目標の達成度など非常に気にします。
決算前の3 月や半期決算前の9月、年末の12 月はなおさらです。
未達であれば何とかしたいでしょう。
たとえば、 2月中旬に某支店で3月末までの預金貸出目標の達成が微妙な状況であるとします。
そこへある事業者から融資の依頼が来た。
その場合、融資が通りやすくなる可能性があるということです。
金融機関にとっては渡りに船。
いいタイミングで融資申請が来て、3月末までに融資実行が可能です。
逆に3月末までの目標達成が見えていれば、審査上は特に問題がなくても否決する
かもしれません。
なぜなら目標以上に貸出をして、来年の予算が更に高くなることを避けたいからです。
その場合、期が明けた4月に申請するとすんなり通るなんてことだってあります。
彼らも組織人であり都合があるのです。
考え方を変えると、どこかの金融機関で資金調達できなくても、他でもできないとは
限らないということです。
金融機関、支店、担当者ごとに状況が違うので、あきらめずに交渉してみましょう。
彼らも上司から評価される会社員ですから、目標の達成度など非常に気にします。
決算前の3 月や半期決算前の9月、年末の12 月はなおさらです。
未達であれば何とかしたいでしょう。
たとえば、 2月中旬に某支店で3月末までの預金貸出目標の達成が微妙な状況であるとします。
そこへある事業者から融資の依頼が来た。
その場合、融資が通りやすくなる可能性があるということです。
金融機関にとっては渡りに船。
いいタイミングで融資申請が来て、3月末までに融資実行が可能です。
逆に3月末までの目標達成が見えていれば、審査上は特に問題がなくても否決する
かもしれません。
なぜなら目標以上に貸出をして、来年の予算が更に高くなることを避けたいからです。
その場合、期が明けた4月に申請するとすんなり通るなんてことだってあります。
彼らも組織人であり都合があるのです。
考え方を変えると、どこかの金融機関で資金調達できなくても、他でもできないとは
限らないということです。
金融機関、支店、担当者ごとに状況が違うので、あきらめずに交渉してみましょう。
4.3 資金調達が必要なストーリーを用意する
金融機関から資金調達を成功させるにはしっかりとした準備が必要です。
なぜ資金調達が必要なのか、なぜこの金額か、何に使うか、返済原資はどうするか、
などについて十分な説明をします。
言いかえると今後の事業がどんな計画で、実行のためにいつ・いくら資金を投入し、
それによりどれだけの効果が発生するかを示して「だからこの金額を調達したい」と
いうストーリーをつくるということです。
改めてこのストーリーの核となるのは以下の項目です。
1) 使途
資金の使途は機械の購入や内装工事費などの「設備資金」と、人件費や仕入などの
「運転資金」の2つに分けられます。
いずれにしても具体的な使途を明示します。なお設備で借りた資金を運転に使用する、
運転で借りた資金を設備に投入する、これらは場合によっては「資金使途違反」に
なる可能性がありますので、十分に注意する必要があります。
2) 金額の根拠
金額の根拠を聞かれた際に「なんとなく」あるいは「できるだけ多く借りたい」などの
回答は金融機関が最も嫌うものです。
計画に基づく客観的な金額算出が基本です。
いずれにしても相手に納得してもらえるような説明を用意します。
3) 資金調達による効果
調達した資金で既存事業の改善や新たな事業に取り組み、その効果がいつごろから、
どんな形で売上や利益に反映されるか見通しを示します。
そのための具体的な取り組みの内容についても記載し、必要ならば担当者や時期等の
情報も盛り込みます。
4)返済原資
調達した資金の返済原資をどのように確保するかについては金融機関も注目しています。
たとえば事業から得られる利益を返済原資とします。
この場合は税金を支払った後の税引き後利益が返済額を上回っている必要があります
( 減価償却費があれば返済原資に加算します)。
返済額以上の純利益額がなければ、手元の現金残高の返済となり、この状態が続けば
いずれ資金が枯渇します。
一方、建設業などは工事受注をすると様々な支払いが先行して、売上金の回収は半年先
などになることがあります。
その間の資金ギャップを埋めるために運転資金を借りるのなら、返済原資は半年後の売上入金です。
このように返済原資を明確に示すことで審査を通過する可能性を高めることができます。
これを文章と数字にまとめたものが「事業計画書」です。
また資金調達の本当の理由が「業績不調による資金補填」であっても、金融機関が前向きに
検討できるよう「前向き」な取り組みを理由にします。
なぜ資金調達が必要なのか、なぜこの金額か、何に使うか、返済原資はどうするか、
などについて十分な説明をします。
言いかえると今後の事業がどんな計画で、実行のためにいつ・いくら資金を投入し、
それによりどれだけの効果が発生するかを示して「だからこの金額を調達したい」と
いうストーリーをつくるということです。
改めてこのストーリーの核となるのは以下の項目です。
1) 使途
資金の使途は機械の購入や内装工事費などの「設備資金」と、人件費や仕入などの
「運転資金」の2つに分けられます。
いずれにしても具体的な使途を明示します。なお設備で借りた資金を運転に使用する、
運転で借りた資金を設備に投入する、これらは場合によっては「資金使途違反」に
なる可能性がありますので、十分に注意する必要があります。
2) 金額の根拠
金額の根拠を聞かれた際に「なんとなく」あるいは「できるだけ多く借りたい」などの
回答は金融機関が最も嫌うものです。
計画に基づく客観的な金額算出が基本です。
いずれにしても相手に納得してもらえるような説明を用意します。
3) 資金調達による効果
調達した資金で既存事業の改善や新たな事業に取り組み、その効果がいつごろから、
どんな形で売上や利益に反映されるか見通しを示します。
そのための具体的な取り組みの内容についても記載し、必要ならば担当者や時期等の
情報も盛り込みます。
4)返済原資
調達した資金の返済原資をどのように確保するかについては金融機関も注目しています。
たとえば事業から得られる利益を返済原資とします。
この場合は税金を支払った後の税引き後利益が返済額を上回っている必要があります
( 減価償却費があれば返済原資に加算します)。
返済額以上の純利益額がなければ、手元の現金残高の返済となり、この状態が続けば
いずれ資金が枯渇します。
一方、建設業などは工事受注をすると様々な支払いが先行して、売上金の回収は半年先
などになることがあります。
その間の資金ギャップを埋めるために運転資金を借りるのなら、返済原資は半年後の売上入金です。
このように返済原資を明確に示すことで審査を通過する可能性を高めることができます。
これを文章と数字にまとめたものが「事業計画書」です。
また資金調達の本当の理由が「業績不調による資金補填」であっても、金融機関が前向きに
検討できるよう「前向き」な取り組みを理由にします。
4.4 事業計画書の作成
事業計画書には当然ながら数値計画も含まれます。
具体的には損益計画と資金繰り計画になります。
資金繰り計画の作成は必須であり、資金調達の妥当性を金融機関に根拠を持って説明
する重要な説明資料となります。
1)損益計画表
売上、仕入および売上原価と在庫、経費と利益の見通しをまとめたものです。
これは月別に少なくとも2 年分を作成します。
今回の資金調達をもって新事業に取り組むのなら、既存事業と新事業で売上を別々に
記載するとわかりやすくなります。
また「単価×数量」など売上の中身を要素分解して説明できるようにしておけば
金融機関だけでなく、自社にとっても理解を助けることにつながります。
3) 資金繰り計画表
損益計画を作成したら、それを元に資金繰り計画を作成します。
この資金繰り計画から調達すべき資金額が見えてきますし、金融機関へ金額の妥当性を
数字で見える形で説明することが可能になります。
具体的には損益計画と資金繰り計画になります。
資金繰り計画の作成は必須であり、資金調達の妥当性を金融機関に根拠を持って説明
する重要な説明資料となります。
1)損益計画表
売上、仕入および売上原価と在庫、経費と利益の見通しをまとめたものです。
これは月別に少なくとも2 年分を作成します。
今回の資金調達をもって新事業に取り組むのなら、既存事業と新事業で売上を別々に
記載するとわかりやすくなります。
また「単価×数量」など売上の中身を要素分解して説明できるようにしておけば
金融機関だけでなく、自社にとっても理解を助けることにつながります。
3) 資金繰り計画表
損益計画を作成したら、それを元に資金繰り計画を作成します。
この資金繰り計画から調達すべき資金額が見えてきますし、金融機関へ金額の妥当性を
数字で見える形で説明することが可能になります。
4.5 謝絶されたら理由を確認する
しっかりと準備して融資を申し込むと金融機関では担当者が案件詳細を「稟議書」に
まとめて上司に提出、審査開始となります。
ここでどれだけ精度の高い稟議書が作られるかが重要です。
そのためには融資申請の詳細を口頭ではなく、紙にして渡します。
さらにその内容を貸付責任者や支店長にも同席してもらい説明することが肝要です。
しかし、そこまでしても「謝絶( 否決)」されることはあります。
最後に、会社は手元の現預金が尽きたら終わりです。
そして、資金繰りは損益計算書にも貸借対照表にも出てきません。
別途、資金繰りにフォーカスした管理は必須になります。
ぜひ資金繰り表を活用することで常に一定の現金を確保して、安定した
事業の継続に役立ててください。
もし謝絶されたとしても必ずやっておくことがあります。
それは「謝絶の理由」を聞くこと。
必ずやってください。
以下のように金融庁から金融機関へ対して謝絶の際はその理由を説明するよう
指導がされています。
=金融庁からの指導=
(前略)” ②顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合” これまでの取引関係や、
顧客の知識、経験、財産の状況および取引を行う目的に応じ、可能な範囲で謝絶の
理由等についても説明する態勢が整備されているか。
・たとえば、信用保証協会付き融資について、営業上の判断に即した本来 の説明を
的確に行うことなく、 「責任共有制度」が導入されたことを口実として融資を
謝絶するといった不適切な対応を行っていないか。(後略)
【出所:金融庁令和6 年2 月 中小・地域金融機関向けの総合的な監督
指針「Ⅱ‐3 業務の適切性」】
謝絶には金融機関から見て融資に至らない何らかの要因があります。
事業者はその内容を知り、改善することで以降の資金調達の確率を高めることができます。
その旨を丁寧に伝えて「具体的な理由」を教えてもらってください。
もし相手が「総合的な判断により」などと返答してもそれは「具体的」ではありません。
具体的でなければ改善につながりません。
ちゃんと対応してくれないようであれば、まだ手はあります。
各金融機関には必ず「お客様相談窓口」があります。また「全国銀行協会相談室」があり、
各地方の「財務局」もあります。
彼らも会社員なので評価されますし、特に財務局から行政指導にもなろうものなら事件であり、
対応に割く業務負担も重くなります。
「では関係部署に相談してみます」と言えば手の平を返すかもしれません。
それだけインパクトがあります。
しかし、そこまでするのはよほど相手の対応が悪い場合に限ります。
できるだけ相手との関係性を損なわないよう丁寧に謝絶の理由を教えてもらえるように交渉しましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
会社が倒れるのは赤字でも借金でもなく、現金が尽きることです。
そして、売上・利益と現金はイコールではありません。
だから、資金繰りという観点で常に管理することが重要です。
是非、現金思考を根付かせて事業の安定・継続にお役立てください。
まとめて上司に提出、審査開始となります。
ここでどれだけ精度の高い稟議書が作られるかが重要です。
そのためには融資申請の詳細を口頭ではなく、紙にして渡します。
さらにその内容を貸付責任者や支店長にも同席してもらい説明することが肝要です。
しかし、そこまでしても「謝絶( 否決)」されることはあります。
最後に、会社は手元の現預金が尽きたら終わりです。
そして、資金繰りは損益計算書にも貸借対照表にも出てきません。
別途、資金繰りにフォーカスした管理は必須になります。
ぜひ資金繰り表を活用することで常に一定の現金を確保して、安定した
事業の継続に役立ててください。
もし謝絶されたとしても必ずやっておくことがあります。
それは「謝絶の理由」を聞くこと。
必ずやってください。
以下のように金融庁から金融機関へ対して謝絶の際はその理由を説明するよう
指導がされています。
=金融庁からの指導=
(前略)” ②顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合” これまでの取引関係や、
顧客の知識、経験、財産の状況および取引を行う目的に応じ、可能な範囲で謝絶の
理由等についても説明する態勢が整備されているか。
・たとえば、信用保証協会付き融資について、営業上の判断に即した本来 の説明を
的確に行うことなく、 「責任共有制度」が導入されたことを口実として融資を
謝絶するといった不適切な対応を行っていないか。(後略)
【出所:金融庁令和6 年2 月 中小・地域金融機関向けの総合的な監督
指針「Ⅱ‐3 業務の適切性」】
謝絶には金融機関から見て融資に至らない何らかの要因があります。
事業者はその内容を知り、改善することで以降の資金調達の確率を高めることができます。
その旨を丁寧に伝えて「具体的な理由」を教えてもらってください。
もし相手が「総合的な判断により」などと返答してもそれは「具体的」ではありません。
具体的でなければ改善につながりません。
ちゃんと対応してくれないようであれば、まだ手はあります。
各金融機関には必ず「お客様相談窓口」があります。また「全国銀行協会相談室」があり、
各地方の「財務局」もあります。
彼らも会社員なので評価されますし、特に財務局から行政指導にもなろうものなら事件であり、
対応に割く業務負担も重くなります。
「では関係部署に相談してみます」と言えば手の平を返すかもしれません。
それだけインパクトがあります。
しかし、そこまでするのはよほど相手の対応が悪い場合に限ります。
できるだけ相手との関係性を損なわないよう丁寧に謝絶の理由を教えてもらえるように交渉しましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
会社が倒れるのは赤字でも借金でもなく、現金が尽きることです。
そして、売上・利益と現金はイコールではありません。
だから、資金繰りという観点で常に管理することが重要です。
是非、現金思考を根付かせて事業の安定・継続にお役立てください。