いきステ NY撤退の報に触れて

気軽に食べられる立ち食いスタイルで拡大を続けて来た「いきなり!ステーキ」

ですが、業績に急ブレーキがかかっていることは多くの方が知るところだと

思います。

そして、先日飛び込んできたのは過去最大で11店舗、現在4店舗を展開する

米ニューヨークからの撤退というニュースです。

同社は「ペッパーランチ」という名前でのお店も展開していますが、全体の

90%近くを「いきなり!ステーキ」事業が占めています。

時々、無性に肉をワシワシ食べたくなる時ってありません?

あるんですよ、私。

そんな時に行ってました“いきステ”。

そういう“いきステ”ですが、同事業は2013年に第1号店を出店してから、2016年

8月には全国100店舗、2018年8月には300店舗と破竹の勢いで店舗数を拡大。

2017年にはニューヨークに海外1号店をオープンと続きます。

それが昨年までは売上は増えているものの、2018年には純利益がマイナス、

2019年には営業利益以下が大幅なマイナスという結果に陥ります。

その結果、決算期である2019年12月末の自己資本は2期前に比較して10分の1

にまで減少。

そんな中にやって来たのが、新型コロナウィルスです。

昨秋には44店舗の閉鎖、そして新型コロナウィルスの脅威が顕在化した今4月には

280店の休業、その後114店舗の閉店(予定)を決定しています。

なかなか厳しい状況です。

ここから特に小さな会社や弱者が学べることって何でしょうか?

多数の株主の目を意識する東証1部上場の大企業とは立場が全く違うので難しい

ところですが、ある種の「囚われ」もあったのではないでしょうか。

つまり、

・売上高が大きなほど良い

・店舗数が多いほど良い

・全国に展開していることが良い などなど

つまり「規模が大きい」ことを良しとする思い込みがなかったか。

大きいことで得られるメリットも勿論ありますが、大きいことと強いことは

別だったりします。

これは経営規模が限定的な中小企業でも当てはまります。

全国47度道府県に展開している(+NYに展開している)、売上高が大きい、

そんなことは基本的に顧客にとってはどうでもいいことです。

見栄や体裁は要らない。

本当に自社の価値につながること、顧客の価値につながること。

社長がそんな「戦略」を立てることが極めて重要になります。

また小さな会社や弱者であれば狙いを定めたこと(商品、地域、客層)に対して

「個別撃破主義」で1つやっつけてから、その次へ、それをやっつけてから

その次へ、という手順で進めることが肝心です。

経営資源を分散させない。限られた力を順次1点に集中することでハードルを

乗り越えていく取り組みになります。

それにしてもやはり社長の想いや目指しているものが何であるか、というのは大きな

影響を及ぼすということを改めて感じました。

この数年でジェットコースターのように上へ下へと駆け巡る「いきなり!ステーキ」。

上場企業であるがゆえの選択もあったでしょう。

また顧客へ向けての社長の「異例のメッセージ」など話題にも事欠かない同社ですが

これからの復活を切に願っています。