唐突ですが日頃、中小企業支援の仕事をしていると「先生」と呼ばれる
ことがあります。
「先生」
まさか自分が「先生」と呼ばれること、「先生」と呼ばれるような
仕事をするとは夢にも思っていませんでしたが…。
自分が「先生」・・・、確かに違和感あります(笑)
「先生」と呼ばれるには幾つかの理由らしきものはあります。
多少乱暴ですが、1つは本来的な意味で「先生」と呼ばれる場合と、
もう1つはあまり大した意味はなく、単に呼びやすいから「先生」と呼ばれる、
この2つです。
前者については、仕事として色々な困りごとを抱える事業者の方と「助言」や
「支援」などの目的で接する機会が多いこと。
これは第三者として違う視点での思考や発想、違う立場から客観的に見た
事実の指摘など、当事者では気付かない面への気づきや発見の機会を
与える役割を担います。
いわゆるコンサルタント業に従事する者はそのようなケースに向き合うことを
前提として様々な訓練、経験などを重ねているので、「経営」に関することに
詳しいことが多いでしょう。
でも、これは誰しも同じですよね。
各人それぞれが仕事で関わっている分野、専門にしている分野に詳しいのは
ある意味あたりまえのことです。
例えば、私が街の「クリーニング店」に勤めることになれば、クリーニングの
基礎知識や事務手続き、接客上の注意点など様々なことを教えてもらうことに
なります。
その時、私からすれば教えてくれる人は「先生」です。
立場が変われば誰しも「先生」であり「生徒」です。
そして、「先生」と呼ばれる多くのケースは後者です。
つまり、わざわざ名前を言うのが面倒だとか、単に呼びやすい、などの
理由で「先生」と呼ばれるということです。あるあるですよね。
確かに、当たり障りないし、深く考えずに「先生」と言っておくことあります、
自分も(笑)。
つまり、何が言いたいかというと「先生」と呼ばれたところで実際は
偉くとも何ともないということです。
確かに偉そうだったり、上から教えてやる目線の「先生」然とした人も
いるかもしれません。
しかし、我々コンサルタントは「サービス業」です。
飲食店がおいしい食事、居心地のいい空間、気持ちの良い接客を提供するのと
同じように、良質なコンテンツを届けるのが仕事です。
場合によっては耳が痛いこと、嬉しくはないことを直言することにもなりますが、
その言葉や言い方には気を配ると共に根底には相手先の経営を良くすること、
業績を向上させることが根底にあります。
同業の仲間でも「先生」と呼ばれても偉いわけでもない、自分達はサービス業で
あるという認識は割と共有されています。
これは自分でも強く認識するところです。
ただ、一方で「先生」と呼ばれることから逃げてはいけないとも感じています。
経営の悩み事や困った事があって、支援を願い出た経営者がいるとします。
なんとか今の状況を改善して立て直したい、その為にお金を払って外部の
専門家に来てもらった、こんなケースはままあります。
その経営者からすれば、自分にはない専門知識や経験を持って助けになると
願ってお金を出しているわけです。
実際には当事者である社長が悩み続ける問題をよそからやって来た
「コンサルタント」が一発で解決することなどほぼありません。
しかし、先にも触れたように違う視点を提供したり、一緒に意見を交わしながら
解決へ向けて支援することはできます。
ただ、そのような状況にある社長に向けて「私は先生ではありません」とは
言えないとも思っています。
お金を払って来てもらっているのに「先生」じゃなかったら何なの?
と思わせてはいけない、というか。
少なくとも「先生」に値するようなサービスは提供しなければならない。
そんな矜持は持ってなくてはいけないと感じています。
だから、この仕事は緊張するし、怖くなることがあります。
長くなりましたが、まとめると私たちは「先生」と呼ばれたところで偉くとも
何ともありません。
仕事のほとんどは「教える」ではなく「支援」したり「伴走」することです。
ただし、相手先が「先生」を求めることがあり、その時はそれから逃げずに
「先生」として値する価値を提供しなければならない、と自分では考えています。
精進あるのみです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。